2015年7月22日
神様が君に腕力をくださったのは、
仲間を張り倒すためではないんだよ
星美学園小学校 井手さと子
今日ご紹介するのは、ドンボスコの言葉ではなく、ドンボスコの友人であるルイジ・コモッロという少年がドンボスコに投げかけた言葉です。この少年は、早くして亡くなりますが、ドンボスコにとっては親友であり心の支えでした。
ドンボスコが通っていた学校に途中から入学してきたコモッロ少年は、いつも穏やかで周りがどんなに騒いでいても、わるふざけをしていても、静かに読書を続ける、そんな少年でした。周りのクラスメイトはそれがおもしろくなく、コモッロにも仲間に入るよう言いました。ところが、いっさい応じようとしないコモッロは、とうとう仲間に暴力をふるわれてしまいます。そんな様子を見ていたドンボスコは頭にきて、今度はその仲間たちのことを全員なぎ倒してしまいました。そのころのドンボスコは正義感が強いだけでなく、かーっと頭に血がのぼりやすかったのですね。そんなドンボスコに、コモッロは何と言ったのでしょうか。もしかしたら、ドンボスコはお礼を期待していたかもしれません。ところが、コモッロはこう言いました。「君の怪力には恐れ入った。だけど、神様が君に腕力をくれたのは、仲間を張り倒すためではないんだよ。」
コモッロを必死で助けようとしたドンボスコでしたが、その言葉にはっとさせられました。神様の望んでいることをいつも心の軸とし、ゆるし合うこと、愛し合うことを身を持って教えられたのです。ドンボスコは、それ以後暴力的な行動を起こさないように心に決めたのでした。ドンボスコはすばらしい親友を得たのですね。友人を大切に思う心、そして神様からいただいた力を善いことに使うことの大切さを、このコモッロの言葉から感じることができます。